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なんて事だろう!
ここはパラダイスじゃないだろうか。

あっちにも、
あそこにも、
そして今も、
すぐ横を通り過ぎて行った。




The Skycity of Bhujerba




まるで初めて都会に来たかのように●は
右や左、はたまた後ろを振り返る。

口元には笑みを浮かべ大層嬉しそうだ。
キラキラと輝く瞳が見つめるその先にいるのは―


「ここはモーグリの街なのかしら?!」

早歩き気味の●の隣にいたのはバルフレア
その質問ともいえない言葉に説明をしている。

●、うちのノノとは違うんだから、いきなり抱きつくなよ。」

「失礼ね、そこまで節操無しではないわ。」

「ふーん、なら後でクリオ技店に行ってみろよ。」

「何があるのかしら、楽しみね」

「喜ぶと思うぜ?」

「じゃあ善は急げね。今行く事にしたから、また後ほど」

●は颯爽と皆の前から姿を消した。







「えと、、、クリオ、クリオっと・・・あ!あそこね」

可愛らしい店先にはお客さんが次々と入っていく。

浮き足立って早速お店に入ればその景色に声が漏れてしまった。

「うぁ~。。。。!」

落ち着いた雰囲気に忙しなくあちらこちらに行き交うその姿に目を奪われる●。
『トテトテ』という音が似合うその動きに思わず後をついていった。

きっとこの様子バルフレアが見ていれば
間違いなくストーカーだと言うに違いない。

そして奥にあるレジカウンターに目をやるとモーグリが
忙しそうに指示を出しているのが見えた。

あの子がここの主の『クリオ』なのだろう。

「お金持って来れば良かった。」

そしたら会計の時に何気なく話が出来たかもしれないのに。

「あ!そうだ、今は下見と言う事にしてまた来ればいいわ。」

そう考えつき●は体を返して一度この店を出るため出口へと向かっていった―


掴もうとしたドアノブは何故か遠ざかっていく。
下の方を向いていた目線に外の光が入って一瞬目が眩んだ。


「―●」

「?、あ、バッシュ」

「帰るところのようだな」

「残念だけどそうなの。バッシュは丁度お買い物のようね」

「ああ」

「そうだ、差し障りなければ一緒にいてもいい?」

「構わないが・・」

「やった、ありがとう!」

これでこの店に長居できる理由ができた。しかもバッシュと一緒にだ。




店内を一緒に歩きながら目的の本棚を探しつつモーグリにも目線をむけなが辺りを見渡す。
階段を上がった先には丁度店員のモーグリが整頓をしているところだった。

台に乗っているモーグリはクルリと後ろを向いてお辞儀をする。

「ごめんなさいクポ、今避けるから待ってクポ」

降りようとするモーグリにエスコートするようにそっと手を差し出す

「どうぞ」

「ありがとうクポ」

「いえいえ」

台を動かし去っていく後ろ姿に小さく手を振る


「かわいいなぁ・・」

●は本当にモーグリが好きなんだな」

「ええ、とっても可愛らしいと思いません?」

「そうだな、それに技術面で秀でた者も大勢いる」

「それも魅力の一つですよね。でも私としてはやっぱり抱いた時の柔らかさが一番かも」

「―そう、、なのか?」

答えに返事が出来なくて言葉が少し詰まった。

「耳は大きいし毛はフサフサしているし、
あの頭の上についたボンボンはまるで綿毛のように柔らかくって。
もしかしてバッシュは抱いた事ない?」

「ああ」

「なら今度ノノを抱っこしてみたらいいわ、きっと私の言っている事が分かると思うの」

「それはダメだろう」

「あら、どうして?」

「君だから許される事だと思うが」

「そんな事は―」

「考えてみてくれ●。この俺がノノを抱きしめている姿など見るに耐えないぞ」

いくらノノだろうがそれでは災難でしかないだろうに。

「ふふ、想像するとちょっとおかしいかも。
そんな時ですらバッシュは真面目な顔だったりしそうね」

「慣れない事はしない方がいいだろうな」

「でもそうなると何時まで経っても私のこの気持ちは理解しれもらえないわ」

「大よその見当ならつくが」

「うーん、現実と想像は大分違うと思うの」

「だが・・」

「じゃあ、ちょっとだけ触ってみて。そしたらきっと―・・ッ」

大きく開いた店の扉。そして
店内に対流し巻き上がった風が●の髪をフワリと舞い上げた。

おもむろに手を伸ばしたバッシュは
優しく掬い上げ流れていく髪を見つめている。

まるで絹糸の様にサラサラと滑らかに指の間をすり抜けていく。


「君の言う通りかもしれない・・」

「―え・・・・?」

「現実と想像は大分違う様だ」



小さくフッと笑みを見せたバッシュは本棚へと目線を向けてしまった。

彼が一体何に対して違うと言ったのか。
乱れた髪をそっと直す●は僅かに放心しながらその横顔を見つめていた―